肝臓
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原著
日本人PBC患者におけるFisk Fatigue Severity Score(FFSS)日本語版の妥当性の検証
田中 篤高橋 宏樹根津 佐江子上野 義之菊池 健太郎渋谷 明隆大平 弘正銭谷 幹男Lorenzo MontaliPietro Invernizzi滝川 一
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2009 年 50 巻 2 号 p. 51-59

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抄録

疲労は原発性胆汁性肝硬変(PBC)患者の主要症状の一つとされており,近年欧米では臨床上の重要な問題としてPBC患者の疲労に関する報告が相次いでいるが,日本人PBC患者における疲労症状の実態は不明である.われわれは疲労症状の評価尺度として頻用されるFisk Fatigue Severity Score(FFSS)の日本語版をback translation法によって作成し,日本人PBC患者166名を対象としてその妥当性を統計学的に検証した.クロンバックのα係数は0.900を超えており,評価尺度の内的整合性は良好であった.SF-36との間にも高い相関が存在し,ことに疲労と関係の深い「活力」「日常役割機能(身体)」との間に最も強い相関がみられた.主因子法による探索的因子分析ではphysical, cognitive, socio-relational, socio-emotionalと推定される4因子が抽出され,これらによって結果全体の66%が説明可能であった.以上より今回作成した日本語版FFSSの妥当性が検証された.今後これを用いて日本人PBC患者の疲労症状について詳細に検討する予定である.

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© 2009 一般社団法人 日本肝臓学会
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