肝臓
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症例報告
インフルエンザA/H1N1 pdm感染を契機に急性肝炎重症型を発症した1例
舛石 俊樹酒井 義法細谷 明徳鈴木 健一伊藤 剛鎌田 和明水谷 佐和子村野 竜朗相馬 友子永山 和宜草野 史彦田沢 潤一鈴木 恵子
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2011 年 52 巻 7 号 p. 461-467

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抄録

症例は23歳女性.38℃台の発熱・倦怠感・嘔気・関節痛が出現したため,当院救急外来を受診した.インフルエンザ迅速診断キットでインフルエンザA型陽性のためインフルエンザウイルス感染症と診断された.また,血液検査ではトランスアミナーゼの著明な上昇とPTの低下を認め,急性肝炎重症型の診断で当科に緊急入院した.与芝らの劇症化予知式により劇症化の可能性があると判断し,劇症肝炎に準じて血漿交換療法・ステロイドパルス療法を施行した.第2病日よりトランスアミナーゼ・PTの改善を認め,第12病日退院した.肝障害の成因として薬物性肝障害の可能性は否定できなかったが,臨床経過からは新型インフルエンザ(以下A/H1N1 pdm,PCR法で診断)感染が成因である可能性も否定できなかった.A/H1N1 pdm感染による高サイトカイン血症を契機に急性肝炎重症型を発症したと考えられる1例を報告する.

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© 2011 一般社団法人 日本肝臓学会
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