抄録
症例は31歳女性.2年前より肝血管腫と診断され,経過観察されていた.腹痛,発熱が頻回に出現し,精査加療目的に当院へ入院となった.CTでは右葉全域を占める,40 cm大の巨大な血管腫を認めた.この腫瘍に連続して右側腹部に10 cm大の辺縁が造影される嚢胞状構造が認められ,腹壁膿瘍を併発していると診断し,手術を施行した.腫瘍が巨大であったため,前方アプローチで肝右葉切除を行った.腫瘍右側に連続して腹壁に膿瘍を形成しており,内腔を十分に洗浄した後開放のままとした.切除した腫瘍は,3170 g,赤褐色,弾性軟で,組織学的には細胞異型はなく,良性肝海綿状血管腫と診断した.膿瘍の原因菌はFusobacterium necrophorumであった.巨大肝血管腫に膿瘍を合併した非常にまれな1例を経験したので報告する.