抄録
症例は26歳,女性.発熱および肝機能障害にて入院.抗生剤治療不応の弛張熱と皮疹を特徴とし,肝生検などにより白血病や悪性リンパ腫などの疾患を除外して成人発症Still病と診断した.急性肝不全を呈し,ステロイドパルス療法によりいずれの臨床症状も軽快したが,ステロイドの減量によりすぐに再燃した.更に血球減少を呈するマクロファージ活性化症候群(macrophage activation syndrome,MAS)に移行した.シクロスポリンおよび静注用リポ化ステロイドの投与を開始したところMAS症状は改善し,第41病日に退院した.成人発症Still病に合併したMASにはシクロスポリンおよびリポ化ステロイドの治療が有用であった.