肝臓
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特集
2.門脈圧亢進症における肝臓と心臓の相関
近森 文夫国吉 宣俊岡本 博司高瀬 靖広
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2012 年 53 巻 6 号 p. 316-323

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抄録
門脈圧亢進症では,全身血管抵抗(SVRI)の減少,心拍出量(CI)の増加,動静脈血酸素含量較差(Ca-vO2)の狭小化をきたし,全身循環亢進状態となっている.CIはChild-Pugh scoreと正の相関を示し,プロトロンビン時間(PT),ヘパプラスチンテスト(HPT)と負の相関を示した.SVRIはアルブミン(Alb),PTやHPTと正の相関を示し,ICG15やアンモニア(NH3)と負の相関を示した。脾静脈/門脈径比(SPV/PV),左胃静脈/門脈径比(LGV/PV)やシャント/門脈径比(Shunt/PV)は,CIとは正の相関を,SVRIとは負の相関を示す.非高血圧性/高血圧性LCのSVRI(dynes・sec・cm-5/m2)は1653±475/2162±603,Ca-vO2(vol%)は2.8±0.9/3.1±1.0,血管コンプライアンス(AC)(ml/mmHg)は1.3±0.5/0.9±0.3と高血圧性LCでは非高血圧性LCに比べて全身血行動態的には循環亢進状態が減弱した状態となっている.門脈圧亢進症診療においては,脾静脈系局所循環亢進状態のみならず全身循環亢進状態についても認識しておくことが肝要である.
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© 2012 一般社団法人 日本肝臓学会
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