肝臓
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症例報告
ペグインターフェロン併用5FU全身化学療法が著効した肝細胞癌破裂の1例
矢田 豊竝川 昌司神田 大輔畑中 健大山 達也長島 多聞久保田 潤高木 均吉永 輝夫
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2012 年 53 巻 8 号 p. 523-529

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抄録

症例は56歳,男性.C型肝硬変に腹膜播種を伴う進行肝細胞癌(HCC)を併発し,ペグインターフェロンα併用5FU全身化学療法(PEG-IFN/5FU全身療法)を施行したところ,化学療法開始直後に出血性ショック状態となった.腹部CT検査で腹腔内出血を確認し,化学療法に伴う肝癌破裂と診断した.保存的加療にて軽快し,かつPEG-IFN/5FU全身療法によりHCCは腹膜播種巣を含め著明に縮小した.このため,PEG-IFN/5FU全身療法を計5コース施行したところ,同療法は奏功した.化学療法に伴うHCC破裂は化学療法が有効であるがゆえに生じる可能性があり,循環動態の安定が得られた後に,同療法を繰り返すことで著効が期待できる.腹膜播種を伴う進行HCCにPEG-IFN/5FU全身療法は考慮すべき治療法と考えられた.

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© 2012 一般社団法人 日本肝臓学会
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