抄録
症例は神経線維腫症1型の74才,女性.腹部超音波検査にて多発性の肝嚢胞性病変を認め精査のため入院となった.腹部CT検査では肝両葉に多発する最大径15 cmまでの嚢胞性病変を認めた.多くの病変で嚢胞壁は薄く,病変のほとんどの部分が嚢胞状であり,造影では嚢胞壁が濃染された.また十二指腸下行脚に比較的強い造影効果を示し,内部に一部低吸収域を伴う3 cm大の腫瘍性病変を認めた.上部消化管内視鏡検査では十二指腸下行脚の病変は陥凹を伴う粘膜下腫瘍であり,生検にて粘膜下組織にKIT染色陽性の紡錘形異型細胞を認め,十二指腸GISTと診断した.肝嚢胞性病変の嚢胞壁の生検では肝細胞類似の異型細胞を認め,肝細胞癌が疑われた.しかしながらKIT染色陽性であり,十二指腸腫瘍とは異なる病理学的形態を示したが,十二指腸GISTの肝転移と診断した.原発巣と転移巣が画像所見,病理所見とも大きく異なった点から示唆に富む症例と考え報告する.