抄録
肝動脈瘤は,画像診断の進歩により発見例が増加している.破裂例は致死率が高く,未破裂例の取り扱いが問題になる.今回,肝内側副血行路上に発生した仮性動脈瘤の1例を経験した.症例は67歳,男性.38歳時,胆嚢摘出術の既往あり.45歳時よりHCV抗体陽性のため近医で経過観察中であったが,USで肝腫瘤を指摘され当科紹介された.Dynamic CTで肝門部に接し動脈と等濃度で造影される結節像を認め,肝動脈瘤と考えられた.血管造影では右肝動脈は造影されず,左肝動脈から右葉への側副血行路上に径8×5 mmの瘤形成を認めた.経カテーテルアプローチは血管の蛇行のため困難であり,開腹術を選択した.動脈瘤は門脈臍部右側に認められ,流入・流出路を結紮し瘤を摘出した.病理組織検査で中膜の弾性線維と平滑筋が萎縮,欠損しており仮性動脈瘤であった.肝内側副血行路上に発生した動脈瘤は極めて稀であり,その成因および治療適応について若干の文献的考察を加え報告する.