肝臓
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症例報告
IgM-HA抗体が偽陽性となった急性発症型自己免疫性肝炎の1例
岡井 研喜田 栄作松橋 暢生松岡 英彦市井 統山崎 雅弘田井 真弓鈴木 智浩江尻 豊高橋 敦史大平 弘正
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2013 年 54 巻 1 号 p. 27-32

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抄録

症例は76歳女性,全身倦怠感,褐色尿及び肝機能障害を認め入院.IgM-HA抗体陽性から当初急性A型肝炎と診断し保存的加療により軽快退院した.退院後再び肝機能が増悪し再入院し,肝生検では急性肝炎後の非特異的な所見のみで,メチルプレドニゾロンによるミニパルス療法にて肝機能は改善し,以降プレドニゾロン(PSL)を漸減,中止された.しかし,PSL中止1カ月後で再度肝機能の増悪を認め,抗核抗体陽性,高γグロブリン血症に加えHLA DR4陽性,同時点での病理所見を併せて自己免疫性肝炎と診断された.本例はIgM-HA抗体の抗体価が発症初期から低く,HAV-RNA陰性,IgG-HA抗体が高力価陽性であったことから,急性発症型自己免疫性肝炎と最終的に診断した.本例は急性期の自己免疫性肝炎の病態に関して示唆に富む症例と考えられた.

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© 2013 一般社団法人 日本肝臓学会
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