肝臓
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症例報告
肝門部胆管癌と鑑別が困難であった肝サルコイドーシスの1例
大西 理乃佐々木 由子忽那 茂川村 智恵武智 俊治大野 芳敬横田 智行上甲 康二大城 由美
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2013 年 54 巻 3 号 p. 203-210

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抄録

症例は59歳女性で,肝内に胆管拡張を伴う占拠性病変を指摘され精査目的にて当科紹介受診した.造影CT,MRIにて左葉外側区と肝門部に腫瘤性病変あり,腫瘤より末梢の胆管は拡張をきたしていた.肝門部,傍大動脈リンパ節の腫脹も認められ,肝門部胆管癌とそれによる肝転移及びリンパ節転移が疑われた.ERCP施行したところ,胆管造影にて肝門部に約2 cmにわたる狭窄を認めた.しかし狭窄部からの生検では類上皮肉芽腫を認め,前医の胸部CTを見直すと両側肺門部リンパ節腫脹(BHL)所見がある事からサルコイドーシスの肝病変の可能性を考え経皮腫瘍生検を追加した.いずれも悪性所見なく,ラングハンス巨細胞を伴う肉芽腫形成を認め,肝サルコイドーシスと診断した.本症例は肝サルコイドーシスにより肝門部胆管に狭窄を認めた稀な症例であり,肝門部胆管癌との鑑別が困難であった一例を経験したので報告する.

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© 2013 一般社団法人 日本肝臓学会
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