肝臓
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原著
大学病院の非肝臓内科におけるHBs抗原およびHCV抗体陽性者に対する肝疾患診療の実態
古川(江口) 尚子河口 康典大枝 敏泉 夏美江口 仁水田 敏彦藤井 進高崎 光浩尾崎 岩太杉岡 隆安西 慶三山下 秀一江口 有一郎
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2013 年 54 巻 5 号 p. 307-316

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抄録
ウイルス性肝炎対策において,医療機関における肝臓内科と非肝臓内科間の院内連携の実態は不明である.そこで,当院における非肝臓内科でのHBs抗原およびHCV抗体の測定状況,ならびに陽性者における肝炎診療の実態を明らかにすることを目的に,本研究を実施した.2010年1月~12月,肝臓内科以外の27診療科でHBs抗原またはHCV抗体を測定した症例(重複例を除外,HBs抗原6,648例,HCV抗体6,612例)を対象とした.HBs抗原陽性126例(1.9%),推定B型慢性肝炎66例(1.0%),HCV抗体陽性487例(7.4%),推定HCVキャリア369例(5.6%),推定C型慢性肝炎244例(3.7%)であった.高い感染率にもかかわらず,HBVキャリアの79%,HCVキャリアの82%は肝臓内科との連携がなく,そのうち,前者の89%,後者の97%においてウイルス性肝炎に関する診療方針の記載もみられなかった.肝炎ウイルスキャリア率が高く,かつ肝臓専門医を擁する医療機関において,適切な肝炎診療を行うための院内連携システムの構築が早急に必要である.
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© 2013 一般社団法人 日本肝臓学会
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