肝臓
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原著
C型慢性肝炎のPeginterferon/Ribavirin/Telaprevir 3剤併用療法における腎機能障害の発生機序と対策について
野ツ俣 和夫潮木 保幸熊井 達男上田 晃行松田 尚登真田 拓新 浩一渡邊 弘之登谷 大修田中 延善
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2014 年 55 巻 1 号 p. 33-39

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抄録

C型慢性肝炎に対するPeginterferon, Ribavirin, Telaprevir 3剤療法において発生する腎障害の発生機序およびその対策について検討した.C型慢性肝炎に対する3剤併用療法施行例のうち12週以上投与した78例で腎機能の推移を観察し,うち40例で一般生化学検査の他に血中CystatinC,尿中L-FABP,尿中NAG,ナトリウム排泄率(FENa),尿中アルブミン量の推移を観察した.血中CystatinCは1週後有意に低下した.尿中L-FABPは4週目まで変化せず,尿中NAGは4週目に上昇した.FENaは4週目まで1未満を推移した.尿中アルブミン量は4週目まで増加する傾向にあった.以上の結果より,3剤併用療法時には,最初に腎細動脈血流低下から糸球体濾過機能が低下し,血流低下の影響により遅れて遠位尿細管機能が低下するものと思われた.したがって,3剤併用療法にみられる腎機能障害に対しては,補液や腎動脈拡張薬投与が予防法の一つになると考えられた.

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© 2014 一般社団法人 日本肝臓学会
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