肝臓
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症例報告
JAK2遺伝子変異の関与が疑われた非硬変性門脈血栓症に伴う肝外門脈閉塞症の1例
石橋 啓如足立 清太郎片倉 芳樹吹田 洋將糸林 詠横須賀 收
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2014 年 55 巻 3 号 p. 170-175

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抄録

症例は48歳の男性.5年前の健診で食道静脈瘤(LmF2CbRC0Lg-)を指摘され,精査にて悪性腫瘍や肝硬変症の合併を認めず,門脈本幹部血栓,肝門部海綿状血管増生,脾腫が確認され,非硬変性門脈血栓症に伴う肝外門脈閉塞症と診断された.5年の経過で門脈血栓,食道胃静脈瘤(LsF3CbRC2LgcF2)は増悪し,予防的に内視鏡的硬化療法を施行した.慢性骨髄増殖性疾患を疑い施行した骨髄生検では慢性骨髄増殖性疾患の合併は否定的であったが,血液検査にてJanus activating kinase 2のV617F遺伝子変異(JAK2変異)が確認されたことから,JAK2変異が門脈血栓症に関与したと考えられた.本症例では5年の経過中,脾腫に比して血小板数が正常域値内に保たれていた.明らかな基礎疾患が指摘されない門脈血栓症に伴う肝外門脈閉塞症ではJAK2変異が存在する可能性について考慮する必要がある.

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© 2014 一般社団法人 日本肝臓学会
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