肝臓
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症例報告
bilomaに隣接した肝細胞癌に対して定位放射線療法が奏功した一例
牧野 祐紀阪森 亮太郎塩見 浩也藥師神 崇行疋田 隼人小瀬 嗣子吉田 雄一巽 智秀平松 直樹中村 仁信竹原 徹郎
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2016 年 57 巻 1 号 p. 17-26

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抄録

80歳男性.2002年よりC型慢性肝炎のため当科通院中,2007年に初発肝細胞癌(HCC)を認めて以来ラジオ波焼灼術(RFA)を3回,肝動脈化学塞栓療法(TACE)を2回施行した.2013年肝S3,S5に各15 mm大のHCCの再発を認めた.TACE施行後S3の病変には経皮的エタノール注入療法(PEIT)を追加したが,S5の病変は過去のRFAにより生じたbilomaに隣接していたため,総線量40 Gy,4分割照射による体幹部定位放射線療法(SBRT)を行った.治療後1カ月で完全寛解が得られ,有害事象は認めなかった.現在治療後1年10カ月が経過しているが,同部からの再発は認めていない.本症例はbilomaに隣接したHCCにSBRTを施行した初の報告である.bilomaに隣接したHCCに対しては胆管障害の危険性があるため穿刺局所治療は施行し難く,SBRTが有効な治療の選択肢になり得ると考えられた.

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© 2016 一般社団法人 日本肝臓学会
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