症例は86歳,男性.1993年(66歳時)に腹腔鏡下肝生検にてC型肝硬変と診断され,インターフェロンα2a(IFN-α2a)の24週間投与によりウイルス学的著効(sustained virological response,SVR)を得た.その後も肝機能は正常化していたが,2013年1月スクリーニング目的で行われた腹部超音波検査にて肝S8に径15 mm大の腫瘍を認めた.腹部造影超音波検査,EOB造影MRIにて肝細胞癌と診断し,肝動脈塞栓術,ラジオ波焼灼術を施行した.IFN治療によるSVR後20年を超えて肝細胞癌を発症した例はこれまで報告がなく,肝硬変症例に対してはSVR後も長期間の慎重な経過観察が必要であると思われた.