症例は54歳女性.特記すべき家族歴なし,高血圧の既往歴あり.当院受診2日前からの39度台の発熱,1日前からの嘔吐・下痢あり.強い心窩部痛を主訴に当院受診.身体所見は心窩部の圧痛,血液検査で炎症反応の上昇がみられた.外来にて急に意識消失,腹部造影CTで大量の腹腔内出血と左肝動脈にふたこぶ状に連なった動脈瘤が認められた.肝動脈瘤破裂による出血性ショックと診断し,緊急でカテーテルコイルによる動脈塞栓術を施行した.術後経過は良好.止血後に撮像した頭部MRI/MRAで右内頸動脈と左右の中大脳動脈の計3カ所に動脈瘤がみられた.局所的な誘因のない内臓動脈瘤の症例においては頭蓋内の動脈瘤を検索すべきと考えられた.