2017 年 58 巻 5 号 p. 280-288
72歳,男性.肝機能異常を指摘され,腹部CTで肝に腫瘍性病変を認めた.腹部超音波検査では肝S6に47×36 mm大の境界不明瞭,内部均一,低エコー腫瘤を認めた.造影CT検査では肝S6に47×36 mm大の病変は共に単純CTで低吸収,造影早期相で濃染,後期相で低吸収となった.
造影超音波検査では動脈優位相では全体が均一に濃染された.門脈優位相ではiso echoicとなり周囲の肝組織との判別は不能であった.post-vascular phase(Kupffer phase)では淡いdefectを呈した.re-injectionすると全体が均一に濃染され,Micro Flow Imagingでは内部に脈管が貫通する像を認めた.
病理組織検査では肝Mucosa associated lymphoid tissueリンパ腫と診断された.化学療法にて完全著効となり24カ月生存中である.肝Mucosa associated lymphoid tissueリンパ腫は非常に稀な疾患であり,特徴的な造影超音波像を呈したので報告する.