肝臓
Online ISSN : 1881-3593
Print ISSN : 0451-4203
ISSN-L : 0451-4203
症例報告
造影超音波にて特徴的な腫瘍内貫通血管を認めた肝Mucosa associated lymphoid tissueリンパ腫の一例
河岡 友和相方 浩稲垣 有希本田 芙美鳩岡 正浩盛生 慶盛生 玲央奈小林 知樹長沖 祐子平松 憲柘植 雅貴今村 道雄川上 由育有廣 光司茶山 一彰
著者情報
ジャーナル フリー

2017 年 58 巻 5 号 p. 280-288

詳細
抄録

72歳,男性.肝機能異常を指摘され,腹部CTで肝に腫瘍性病変を認めた.腹部超音波検査では肝S6に47×36 mm大の境界不明瞭,内部均一,低エコー腫瘤を認めた.造影CT検査では肝S6に47×36 mm大の病変は共に単純CTで低吸収,造影早期相で濃染,後期相で低吸収となった.

造影超音波検査では動脈優位相では全体が均一に濃染された.門脈優位相ではiso echoicとなり周囲の肝組織との判別は不能であった.post-vascular phase(Kupffer phase)では淡いdefectを呈した.re-injectionすると全体が均一に濃染され,Micro Flow Imagingでは内部に脈管が貫通する像を認めた.

病理組織検査では肝Mucosa associated lymphoid tissueリンパ腫と診断された.化学療法にて完全著効となり24カ月生存中である.肝Mucosa associated lymphoid tissueリンパ腫は非常に稀な疾患であり,特徴的な造影超音波像を呈したので報告する.

著者関連情報
© 2017 一般社団法人 日本肝臓学会
前の記事 次の記事
feedback
Top