肝臓
Online ISSN : 1881-3593
Print ISSN : 0451-4203
ISSN-L : 0451-4203
原著
Bipolar型ラジオ波焼灼療法に経皮的エタノール注入療法を併用する場合の問題点と対策
大掛 馨太生田 真一相原 司覚野 綾子脇 英彦松林 謙治中島 隆善山中 若樹
著者情報
ジャーナル フリー

2017 年 58 巻 9 号 p. 478-485

詳細
抄録

Monopolar型装置を用いたラジオ波焼灼療法(M-RFA)に経皮的エタノール注入療法(PEI)を併用すると凝固領域が拡大するとの報告があるが,Bipolar型装置を用いたラジオ波焼灼療法(B-RFA)にPEIを併用し焼灼不良となった症例を経験した.そこで,豚摘出肝を用いてRFA実験を行い,PEI併用の有無別に凝固体積や電気伝導性,肝の組織学的変化を分析した.その結果,M-RFA,B-RFAともにPEI併用下では通電中に組織抵抗(IMP)が大幅に低下し,電気導電性の亢進と発熱効率の低下が起こることが確認された.通常,B-RFAの通電終了のタイミングは,M-RFAとは異なりIMPの上昇ではなく総エネルギー投与量で規定されている.このためPEI併用B-RFAでは,発熱効率が低下しIMPが上昇しないうちに焼灼完了とみなされ不完全焼灼のリスクが高まることが示唆された.この知見からPEI併用B-RFAの通電終了のタイミングをIMPが初期値を凌駕する時点と改め臨床例に適用したところ焼灼不良は改善されたので報告する.

著者関連情報
© 2017 一般社団法人 日本肝臓学会
次の記事
feedback
Top