肝臓
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症例報告
異なる中国製ダイエット用健康食品のそれぞれで薬物性肝障害を来した1例
道免 和文田中 博文下田 慎治相島 慎一
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2018 年 59 巻 3 号 p. 171-179

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抄録

症例は37歳女性.約1カ月前より中国製ダイエット用健康食品((新)曲美)の内服を開始し,食思不振,全身倦怠感の症状と共に総ビリルビン1.98 mg/dL,AST 1847 IU/L,ALT 991 IU/L,PT 62.8%と肝機能障害を認めた.CTでは肝実質の不均一な増強効果を示した.薬剤の中止で肝機能は改善した.発症9日後の肝組織像は門脈域の軽度のリンパ球浸潤,中心静脈周囲の肝細胞の脱落を示し,薬物性肝障害の回復期に矛盾しなかった.本症例は6年前の31歳時にも異なる中国製痩せ薬(強効痩)を服用し,1カ月後に嘔吐の症状とともに総ビリルビン7.69 mg/dL,AST 1278 IU/L,ALT 1271 IU/L,PT 85.0%と肝機能障害を来たした病歴を有していた.(新)曲美,強効痩の両健康食品には本邦で使用が認められていないシブトラミンが含有されており,シブトラミンによる薬物性肝障害と診断した.

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© 2018 一般社団法人 日本肝臓学会
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