肝臓
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原著
慢性肝疾患における低カルニチン血症,低亜鉛血症の頻度と肝代謝マーカーとの関連
道堯 浩二郎平岡 淳鶴田 美帆相引 利彦奥平 知成山子 泰加寺尾 美紗岩﨑 竜一朗壷内 栄治渡辺 崇夫吉田 理阿部 雅則二宮 朋之日浅 陽一
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2019 年 60 巻 1 号 p. 14-22

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抄録

肝疾患におけるカルニチン,亜鉛低下例の頻度と他の肝代謝マーカーとの関連を明らかにすることを目的とした.慢性肝炎(CH)41例,肝硬変(LC)88例(肝細胞癌非合併群60例,合併群28例)を対象に,カルニチン,亜鉛,アンモニア,BTR(BCAA/Tyr),アルブミン(Alb)を測定し,低下例の頻度と互いの関連を検討した.カルニチン高度低下例はなく,軽度低下例はLCの23.9%にみられ,うち42.9%はアシルカルニチン/遊離カルニチン比>0.4での基準合致例であった.亜鉛高度低下例はCH 0%,LC 30.7%,軽度低下例はCH 31.7%,LC 40.9%にみられた.アシルカルニチンと亜鉛はアンモニア,BTR,BCAAと相関があったが,遊離カルニチンはこれらと相関はなかった.以上よりカルニチンと亜鉛は慢性肝疾患例の一部で低下し,両者の動態と肝代謝マーカーとの関連には差異がみられた.

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© 2019 一般社団法人 日本肝臓学会
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