肝臓
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症例報告
非代償性肝硬変に合併した腸腰筋膿瘍に対し高気圧酸素療法を併用し保存的に治療しえた1例
圓山 聡髙木 慎太郎本田 洋士福原 崇之宮木 英輔森 奈美辻 恵二酒井 明彦茶山 一彰
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2019 年 60 巻 1 号 p. 31-38

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抄録

症例は49歳男性.アルコール性非代償性肝硬変で肝移植も考慮しつつ経過観察中,38℃台の発熱と臀部から下肢にかけての疼痛を認め救急外来受診.疼痛の増悪により歩行困難となり,発熱も持続するため入院した.造影CTにて左腸腰筋に4.5 cm大の辺縁造影効果を有す低吸収域を認め腸腰筋膿瘍と診断.メロペネム投与を開始した.炎症反応と症状は軽快したため抗菌薬一旦終了としたが,下肢痛増悪,歩行困難・発熱が再燃した.膿瘍穿刺ドレナージの適応を検討したが膿瘍は比較的小さく深部にあり,また肝予備能不良であり出血,肝不全の危険性が高いと判断しメロペネムに高気圧酸素(hyperbaric oxygen,HBO)療法を併用する方針とした.HBO開始後数日で解熱,下肢痛も著明に改善し歩行可能となり退院した.以後,症状の再燃はなく,肝機能の悪化も認めなかった.CT上膿瘍の消失を確認し,腸腰筋膿瘍は治癒したものと考えられた.

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© 2019 一般社団法人 日本肝臓学会
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