肝臓
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総説
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)と肝疾患:肝臓専門医の役割
角田 圭雄木本 慧坂本 和賢大橋 知彦中出 幸臣伊藤 清顕豊田 秀徳冨田 栄一熊田 卓米田 政志
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2020 年 61 巻 10 号 p. 496-503

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抄録

世界的パンデミックとなった重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2による新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は特に重症例で肝酵素上昇を引き起こす.機序としてはウイルスによる直接的な障害よりも,投与薬剤やサイトカインストーム,低酸素などの関与が示唆される.COVID-19で肝酵素上昇を認めた際は他疾患の有無を評価し,厳重な肝酵素のフォローが必要である.慢性肝疾患に合併したCOVID-19例では,基礎疾患の治療が中断されることのないよう遠隔診療や電話診療を活用し,不要不急な外来受診を控え,感染拡大防止に努める.代謝性脂肪肝疾患では肥満,糖尿病,高血圧の合併が多く,重症化のリスク要因となる可能性が示唆されている.国際学会からはガイダンスも提言されており,COVID-19と肝障害,COVID-19パンデミック下での慢性肝疾患患者のマネジメントに関してこれまでのエビデンスを概説する.

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© 2020 一般社団法人 日本肝臓学会
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