肝臓
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症例報告
急性骨髄性白血病に対する同種骨髄移植後にヘモクロマトーシスを背景に発症したB型肝炎ウイルス再活性化の一例
春日 範樹小川 祐二本多 靖谷口 礼央酒井 英嗣今城 健人日比谷 孝志米田 正人桐越 博之大橋 健一中島 淳斉藤 聡
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2020 年 61 巻 10 号 p. 504-512

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抄録

症例は45歳女性.急性骨髄性白血病に対して同種骨髄移植が行われ,移植後はタクロリムス,ステロイドによる免疫抑制療法を18カ月継続した.移植前はHBV既往感染の状態であったが,移植から38カ月後に肝機能障害,HBs抗原陽転化,HBV-DNA量上昇を認め,HBV再活性化と診断した.同種骨髄移植前後に赤血球濃厚液の頻回の輸血によりヘモクロマトーシスを合併していた影響もあり,血清フェリチン値は著明高値であった.肝生検では過剰な鉄沈着と急性肝炎の所見を認めた.ラミブジンにより治療を開始し,その後テノホビルアラフェナミドへ切り替えた.HBV再活性化とヘモクロマトーシスの関連性は不明であったが,HBV治療と鉄キレート剤により血清フェリチン値も漸減した.HBV既往感染状態での同種骨髄移植では,長期間にわたりHBV再活性化への注意が必要である.

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© 2020 一般社団法人 日本肝臓学会
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