肝臓
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症例報告
抗PD-1抗体と抗PD-L1抗体のそれぞれの投与において免疫関連肝障害が発現した1例
岩本 剛幸野崎 泰俊辻 俊佑福嶌 裕子山内 亮平中西 亮太永浜 彰悟須永 紘史山岡 祥須田 貴広水本 塁有本 雄貴太田 高志山口 真二郎伊藤 善基朴 鐘建須藤 嘉子永野 輝明吉村 道子山本 亜弥戸田 道仁岩田 隆萩原 秀紀林 紀夫
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2020 年 61 巻 11 号 p. 572-581

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抄録

症例は59歳,男性.非小細胞肺癌(cStageIVB)に対する一次治療としてペムブロリズマブを投与し,2コース目終了時に著明な黄疸と肝障害を認めた.ウイルス性肝炎や自己免疫性肝炎などは否定的で,肝生検ではinterface hepatitisのほか門脈域内にCD8優位なリンパ球と軽度の形質細胞浸潤を認め,ペムブロリズマブによる免疫関連有害事象(irAE)と診断した.プレドニゾロン不応であったため,ミコフェノール酸モフェチルを併用したところ,肝障害は軽快した.その後,肺癌に対する三次治療としてアテゾリズマブを開始したが,投与後8日に再び肝障害を認めた.肝生検ではペムブロリズマブ投与時と同様の所見を認め,アテゾリズマブによるirAEと診断した.今回,異なる2種類の免疫チェックポイント阻害薬のそれぞれで免疫関連肝障害を呈した1例を経験したので報告する.

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© 2020 一般社団法人 日本肝臓学会
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