2020 年 61 巻 11 号 p. 572-581
症例は59歳,男性.非小細胞肺癌(cStageIVB)に対する一次治療としてペムブロリズマブを投与し,2コース目終了時に著明な黄疸と肝障害を認めた.ウイルス性肝炎や自己免疫性肝炎などは否定的で,肝生検ではinterface hepatitisのほか門脈域内にCD8優位なリンパ球と軽度の形質細胞浸潤を認め,ペムブロリズマブによる免疫関連有害事象(irAE)と診断した.プレドニゾロン不応であったため,ミコフェノール酸モフェチルを併用したところ,肝障害は軽快した.その後,肺癌に対する三次治療としてアテゾリズマブを開始したが,投与後8日に再び肝障害を認めた.肝生検ではペムブロリズマブ投与時と同様の所見を認め,アテゾリズマブによるirAEと診断した.今回,異なる2種類の免疫チェックポイント阻害薬のそれぞれで免疫関連肝障害を呈した1例を経験したので報告する.