2020 年 61 巻 2 号 p. 67-73
症例は41歳女性.2018年10月三叉神経痛を発症し近医でカルバマゼピンを処方された.内服後発熱及び体幹中心の紅斑が出現しその後呼吸困難感も認めたため総合病院へ紹介された.重症皮膚症状からStevens-Johnson症候群を疑い,被疑薬を中止するも十分な改善が得られず肝障害も併発した.プレドニゾロン50 mg/日,ウルソデオキシコール酸600 mg/日を開始したが症状の改善なく当院へ転院となった.入院後免疫抑制療法を継続,皮膚症状が改善傾向のため漸減したが,第8病日に一時肝障害が増悪した.血液のPCR検査からHHV-6バリアントB(HHV-6B)陽性となり,HHV-6再活性化関連の薬剤性過敏症症候群(DIHS)と診断した.その後発熱,皮疹と共に肝障害も改善した.DIHSではHHV-6再活性化による肝障害が問題となることがあり,薬物起因性の肝障害では念頭に入れる疾患であると考えられた.