肝臓
Online ISSN : 1881-3593
Print ISSN : 0451-4203
ISSN-L : 0451-4203
症例報告
カルバマゼピンによる薬物性肝障害と鑑別を要したHHV-6B再活性化関連薬剤性過敏症症候群の1例
打越 学伊藤 敬義野沢 妃佐子王 天鵬音山 裕美中島 陽子杉浦 育也梶原 敦荒井 潤市川 雪魚住 祥二郎下間 祐坂木 理片桐 敦石橋 智永田 茂樹吉田 仁
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 61 巻 2 号 p. 67-73

詳細
抄録

症例は41歳女性.2018年10月三叉神経痛を発症し近医でカルバマゼピンを処方された.内服後発熱及び体幹中心の紅斑が出現しその後呼吸困難感も認めたため総合病院へ紹介された.重症皮膚症状からStevens-Johnson症候群を疑い,被疑薬を中止するも十分な改善が得られず肝障害も併発した.プレドニゾロン50 mg/日,ウルソデオキシコール酸600 mg/日を開始したが症状の改善なく当院へ転院となった.入院後免疫抑制療法を継続,皮膚症状が改善傾向のため漸減したが,第8病日に一時肝障害が増悪した.血液のPCR検査からHHV-6バリアントB(HHV-6B)陽性となり,HHV-6再活性化関連の薬剤性過敏症症候群(DIHS)と診断した.その後発熱,皮疹と共に肝障害も改善した.DIHSではHHV-6再活性化による肝障害が問題となることがあり,薬物起因性の肝障害では念頭に入れる疾患であると考えられた.

著者関連情報
© 2020 一般社団法人 日本肝臓学会
前の記事 次の記事
feedback
Top