肝臓
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症例報告
針刺し事故の現状から見たB型肝炎ワクチン接種の必要性
世古口 悟廣瀬 瞳池田 佳奈美山根 慧己濱田 聖子堀田 祐馬山田 展久磯崎 豊長尾 泰孝小山田 裕一松林 宏実
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2020 年 61 巻 4 号 p. 184-190

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抄録

針刺し事故の現状およびワクチン接種の問題点を検証する目的で,2012年1月から2019年7月までに当院で報告のあった,針刺し切創・皮膚粘膜曝露138症例の検討を行った.職種は看護師52.9%,常勤医師23.9%の順で,事務職は1.4%(2例)であった.経験年数1年未満が23.2%で,汚染に伴う感染例はなかった.曝露時のHBs抗体価が10 mIU/ml未満の割合は23.7%で,HBs抗体の自然低下41.9%,ワクチン接種終了前の曝露35.5%,ワクチン不応9.7%,ワクチン接種非対象者6.5%であった.針刺し事故は,事務職にも発生しており,全ての医療従事者を対象としたワクチン接種が必要である.また就業開始前のワクチン接種による抗体獲得および抗体価の定期的な測定を検討する必要がある.

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© 2020 一般社団法人 日本肝臓学会
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