肝臓
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症例報告
小腸大量切除後に食癖の変化を認めた成人発症II型シトルリン血症の1例
坂木 理王 天鵬音山 裕美中島 陽子杉浦 育也荒井 潤梶原 敦市川 雪魚住 祥二郎下間 祐打越 学村山 圭吉田 仁
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2020 年 61 巻 4 号 p. 204-212

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抄録

症例は33歳男性.繰り返す高アンモニア血症を伴う意識障害を認め高シトルリン血症を伴い遺伝子診断で成人発症II型シトルリン血症(CTLN2)と診断された.CTLN2は自己防衛反応とみられる糖質を好まない,高たんぱく・高脂肪食を好むなどの疾患特異的な食癖があるが,今症例は絞扼性イレウスに伴う小腸大量切除後から食癖が変化し糖質を好む食事内容にかわり肝機能障害,脂質異常症が出現し術後5年後に高アンモニア血症を伴う意識障害を認めるようになった.CTLN2の病態の顕在化は遺伝的要因だけでなく食事などの環境的因子の関与が考えられている.腸管手術をきっかけに食癖が変化するとともにCTLN2の症状の顕在化を認めた症例であり,診断後中鎖脂肪酸(MCT)オイルを中心とした食事療法で意識障害や肝機能障害の改善を認めた貴重な症例であり報告する.

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© 2020 一般社団法人 日本肝臓学会
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