2021 年 62 巻 10 号 p. 639-646
症例は81歳,女性.201X年Y月に急性肝障害にて入院.CTにて胆囊底部壁肥厚を認め,TJLBにてAIH/PBC overlap症候群と診断され,prednisoloneを導入された.201X+2年4月の造影CTにて胆囊壁肥厚部は3 cmの不整腫瘤となり,さらに肝S5に不明瞭な肝腫瘤を認めた.AFP,AFP-L3上昇より胆囊癌肝転移または肝細胞癌合併を疑い,腹部血管造影,CTAP,CTAを施行したが,鑑別困難だった.動注化学療法(GEM/CDDP)にて腫瘍縮小,AFP値低下したため,外科的切除術を施行し,病理組織診断にて胆囊神経内分泌癌,肝転移と診断された.胆囊原発神経内分泌癌は非常に稀な疾患であり,未だに診断方法や治療について一定の見解が得られていない.今回我々は肝動注で腫瘍縮小を認め,外科的切除により胆囊神経内分泌癌肝転移と診断できた症例を経験し,若干の文献的考察を加え,報告する.