2021 年 62 巻 11 号 p. 712-723
症例1:61歳,男性.Nivolumab導入後82日目に腹痛と肝障害が出現した.造影CTで閉塞起点を伴わない肝外胆管の拡張と壁肥厚を認めた.細菌性胆管炎と診断し,内視鏡的胆管ドレナージを行なったが,改善しなかった.肝生検を施行し,免疫チェックポイント阻害薬関連硬化性胆管炎と診断した.プレドニゾロンは奏功せず,原病の悪化で死亡した.症例2:75歳,女性.Nivolumab導入後150日目に腹痛と肝障害が出現し,造影CTと肝生検で免疫チェックポイント阻害薬関連硬化性胆管炎と診断した.プレドニゾロンでは改善が乏しく,ミコフェノール酸モフェチルの追加で改善した.その後,プレドニゾロン漸減中に悪化を認めたが,アザチオプリンの追加で再度改善が得られた.免疫チェックポイント阻害薬関連硬化性胆管炎はステロイド抵抗性であるが,ミコフェノール酸モフェチル,アザチオプリンの追加で改善が得られる可能性がある.