肝臓
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症例報告
可動性を呈する乳頭状隔壁を有しSonazoid造影超音波で壁在結節の造影効果の持続を認めた出血性肝囊胞の1例
洪 伸有基高木 慎太郎福原 崇之宮木 英輔森 奈美前田 貴司藤原 恵辻 恵二
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2021 年 62 巻 3 号 p. 160-168

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抄録

68歳女性.右膝蓋骨骨折のため近医整形外科入院中,腹部CTで肝右葉に12 cm大の腫瘍性病変を認め当院に入院した.腹部超音波検査(US)で可動性を呈する乳頭状隔壁を認めた.乳頭状隔壁は,MRIでも認めたがCTでは描出されず所見が乖離していた.Sonazoid造影超音波検査(Sonazoid CEUS)では,壁在結節の造影効果が持続しCA19-9 198.9 U/mlと上昇しており,外科的切除術を施行した.囊胞性腫瘤の内部は,フィブリン,コレステリン結晶を含んだ茶褐色の混濁した漿液が貯留し囊胞壁は不均一な線維性硬化を認め出血性肝囊胞と診断した.術後に画像所見を見直すと出血性肝囊胞に特徴的な所見である,USで可動性を呈するがCTでは描出されない乳頭状隔壁を認めた.さらに,Sonazoid CEUSでの壁在結節の造影効果の持続がよく観察されており同疾患の診断に有用な所見と考えられたため報告する.

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© 2021 一般社団法人 日本肝臓学会
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