肝臓
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原著
日本人の非アルコール性脂肪性肝疾患におけるFibroScan-ASTスコアの有用性:単施設後ろ向き研究
齋藤 直人畑中 健中野 佑哉中野 彩智迫 陽一吉田 佐知子蜂巣 陽子田中 良樹吉永 輝夫柏原 賢治戸島 洋貴佐藤 賢柿崎 暁浦岡 俊夫
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2021 年 62 巻 7 号 p. 393-402

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抄録

活動性の炎症(NAS≥4)と進行した線維化(F≧2)を伴う非アルコール性脂肪肝炎(NASH)症例を,非侵襲的に同定する方法としてFibroScan-AST(FAST)スコアの有用性が近年報告された.これはASTとFibroScanで測定された肝硬度とCAPを用いて算出される.本研究では日本人におけるFASTスコアの有用性を後ろ向きに検討した.2018年4月から2020年3月まで当院で経皮的肝生検で非アルコール性脂肪性肝疾患と診断した34例を対象とした.FASTスコアが0.43のとき,感度は92.9%,特異度は75.0%で,AUROCは0.86(95% CI 0.74-0.99)で,他の非侵襲的指標と比較して最も良好であった.FASTスコアは活動性の炎症と進行した線維化を伴うNASH症例の拾い上げに有用なツールであった.さらなる症例の集積で日本人の最適なカットオフ値の確立が望まれる.

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© 2021 一般社団法人 日本肝臓学会
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