脂肪酸は生体内における最大の貯蔵エネルギーであり,肝臓は脂肪酸代謝の中心臓器として機能している.MRI-PDFFは非侵襲的に肝内脂肪含量の定量が可能であり,肝生検の代用として脂肪肝の診断と治療評価に用いられている.本研究では慢性肝疾患(CLD)389例のMRI-PDFFを測定し栄養不良との関連性を検討した.MRI-PDFFはcontrolling nutritional status(CONUT)の栄養障害度,サルコペニアの合併率とそれぞれ有意に関連し,肝硬変では肝脂肪量が減少してMRI-PDFFが肝予備能とは独立した予後因子であった.そして多変量解析ではBody Mass Index(BMI)とアルブミンの低下が肝脂肪量減少のリスク因子として抽出された.MRI-PDFFはCLDの有力な低栄養指標となる可能性が示唆された.