症例は49歳女性.急性肝不全に対して血液型不適合生体部分肝移植を施行した.術後2週間目に急性細胞性拒絶反応を疑う肝機能障害を認め,超音波(US)下肝生検を行った.その際,肝動脈の誤穿刺による腹腔内出血のため,画像下治療(IVR)によるコイル塞栓で止血した.術後4カ月目に再度,腹水貯留と肝機能障害を認めた.USで遠肝性の門脈血流と拍動性の波形がみられた.腹部血管造影検査では,肝動脈造影で門脈前区域枝が逆行性に造影され,肝内動脈門脈瘻と診断し,初回コイル塞栓部の近傍の責任動脈にコイル塞栓を行った.本症例は血液型不適合移植症例で移植直後に急性拒絶反応の既往があり,術後4カ月目に生じた腹水を伴う肝機能障害に対して拒絶反応の再燃も疑われたが,USで門脈の波形に異常を認めたことから肝内動脈門脈瘻の診断に至った.従って,肝移植後の肝生検の既往のある肝機能障害には肝内動脈門脈瘻も鑑別することが肝要である.