肝臓
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症例報告
原因が不明であった肝palisading granulomaの1例
仲須 千春山田 眞一郎寺奥 大貴齋藤 裕池本 哲也森根 裕二島田 光生
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2023 年 64 巻 10 号 p. 504-509

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抄録

患者は50代女性.検診の腹部超音波検査で肝S3に16×14 mm大の腫瘤を指摘され精査加療目的に当科紹介となった.既往歴・生肉食歴なし.術前の血液検査で異常なく,末梢好酸球も正常.造影CTの動脈・門脈相では辺縁に造影効果を認めるが,平衡相では造影されず,MRI T1強調像で低信号,T2強調像で低~等信号,拡散強調像でやや高信号であった.PET-CTで肝臓への集積は認めなった.悪性腫瘍の可能性を完全に否定できず,腹腔鏡下肝部分切除を施行した.病理組織学的には腫瘤全体に凝固壊死像が見られ,辺縁に線維増生を伴い,組織球が柵状に配列したpalisading granulomaであった.原因特定のために複数の染色を行ったが,病原体は同定できなかった.palisading granulomaは術前診断が困難であり,診断的治療として腹腔鏡下肝切除術は有用であると考えられた.

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© 2023 一般社団法人 日本肝臓学会
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