2023 年 64 巻 11 号 p. 550-558
胆管浸潤や胆管圧排による閉塞性黄疸を伴う肝細胞癌に対する内視鏡的胆道ドレナージの有効性について検討した.2008年1月から2023年3月までに閉塞性黄疸を呈した肝細胞癌は20例だった.男性16例,女性4例で,平均年齢は75±8歳,門脈浸潤は,Vp0/Vp2/Vp3=13/3/4例,ステント挿入例は16例であった.閉塞性黄疸の改善の有無で全生存期間(OS)を比較すると,黄疸改善例では良好なOSを認めた(p<0.001).プラスチックステント7例,自己拡張型金属ステント9例で両者のOSに明らかな有意差を認めなかった(p=0.218).ドレナージ前後のT.Bil値で有意差を認めた(p=0.001).肝予備能の低下した進行期の肝細胞癌の閉塞性黄疸に対する内視鏡的胆道ドレナージは有用であり,患者の全身状態を考慮しながら検討すべきである.