肝臓
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症例報告
レンバチニブ及び放射線治療後の再肝切除による集学的治療が奏功した門脈腫瘍栓を伴う早期再発肝細胞癌の1例
神 雄太西山 亮小金井 雄太木村 大輝青山 純也中野 容今井 俊一下河原 達也山田 暢江川 智久
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2023 年 64 巻 12 号 p. 641-648

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抄録

50代男性.未治療B型慢性肝炎の既往があり,人間ドックで肝腫瘤を指摘され,精査の結果肝細胞癌(Hepatocellular carcinoma:HCC)の診断に至った.病変はS8に2カ所あり,開腹肝前区域切除を行い,病理組織診断でvp2を認めた.術後2カ月で施行した造影CT検査で門脈左枝に門脈腫瘍栓(Portal vein tumor thrombosis:PVTT)を認めた.術後早期再発したPVTTであり再肝切除後の再発のリスクが高いと考え,観察期間を設けるためLenvatinib(LEN)投与を開始した.PVTTは放射線定位照射したが,術後9カ月に肝右葉微小転移が指摘された.LEN投与下にPVTTと微小転移は増悪を認めず,AFP値が正常化したため,再発後11カ月で再肝切除を行った.その後,微小転移に対してサイバーナイフを施行し完全寛解した.現在,初回術後43カ月無再発生存中である.

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© 2023 一般社団法人 日本肝臓学会
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