肝臓
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症例報告
術前に肝細胞癌との鑑別が困難であった筋腫型肝血管筋脂肪腫の1例
野間 隆礼寺奥 大貴山田 眞一郎齋藤 裕池本 哲也森根 裕二島田 光生
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2023 年 64 巻 4 号 p. 201-208

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抄録

患者は40代女性.検診で肝から突出する15 cmの巨大腫瘤を指摘され,精査加療目的に当科紹介となった.既往歴や背景肝に特記事項なく,腫瘍マーカーは正常であったが,造影CTの動脈・門脈相で肝右葉に15 cm大の早期濃染と遅延相でwashoutを認めた.EOB-MRI肝細胞相ではdefectとして描出され肝細胞癌が疑われた.破裂の危険性を考慮し,まずTACEを行い,その後拡大肝右葉切除を施行した.病理組織学的には腫瘍の大半が平滑筋様細胞で構成されており,脂肪細胞は認めず,免疫組織化学染色にてVimentin,αSMA,HMB-45,melan Aが陽性であり,Perivascular epithelioid cell tumor(PEComa)として包括される腫瘍群の中の筋腫型の肝血管筋脂肪腫(Angiomyolipoma;AML)と診断した.今回我々は,術前に肝細胞癌との鑑別が困難であった,若年女性に発生した肝原発筋腫型AMLを経験したため報告する.

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© 2023 一般社団法人 日本肝臓学会
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