肝臓
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症例報告
肝細胞癌に対するatezolizumab+bevacizumab併用療法後に出現した下垂体性副腎皮質機能低下症の3症例
森山 悦子岩本 英希新関 敬永山 綾子城野 智毅下瀬 茂男中野 聖士野田 悠鈴木 浩之酒井 味和黒松 亮子古賀 浩徳野村 政壽川口 巧
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2024 年 65 巻 1 号 p. 37-44

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抄録

atezolizumab+bevacizumab併用療法(atezo+beva)はIMbrave150試験の結果に基づき,本邦でも肝細胞癌の一次治療薬となった.atezo+bevaは,実臨床においてもその有用性が示されている一方で,免疫関連有害事象(irAE)の報告も増加している.今回,我々は切除不能肝細胞癌に対しatezo+beva後に下垂体性副腎皮質機能低下症を生じた3例を経験したため報告する.3症例ともに,主訴は倦怠感であり,低血圧と著明な低Na血症を認めていた.血清ACTH値の増加は認めなかったが,血清コルチゾール値の低下を認め,下垂体性副腎皮質機能低下症の診断に至った.ヒドロコルチゾンの投与により全例で速やかに症状の改善を認めた.免疫チェックポイント阻害剤投与時には様々なirAEが出現し得るが,副腎皮質機能低下症による低Na血症および低血圧症も念頭に入れ,診療に携わる必要がある.

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© 2024 一般社団法人 日本肝臓学会
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