2024 年 65 巻 4 号 p. 172-178
肝炎医療コーディネーター(以下,肝Co)である看護教員が看護学生に行った「慢性肝疾患患者に対する看護」の講義の教育効果について,質的記述的分析を行った結果6カテゴリーを見出した.本講義により【肝疾患の特徴を踏まえた看護の必要性】【多職種連携で病期や患者に合ったセルフケア支援の重要性】【肝疾患の早期発見・治療のための周囲への受検勧奨が重要】【患者および家族への心理的支援の重要性】といった認知的領域だけでなく【偏見や差別の解消には社会への働きかけが重要】【医療職者の言動を偏見・差別に繋げないために正しい知識習得が必要】といった情意的領域への教育効果が確認された.肝Coである看護教員による講義は,リアルな肝疾患患者の体験の活用といった肝Coの知識や経験を活かした厚みのある講義内容となり,肝疾患患者像をより明確化し,認知的領域だけでなく情意的領域への教育効果も得られた.