肝臓
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症例報告
造影超音波検査の肝細胞癌非特異的所見により切除を回避し得た肝血管筋脂肪腫の1例
楠美 雅陸中野 聖士中村 徹水落 伸治増田 篤高鈴木 浩之新関 敬岩本 英希下瀬 茂男城野 智毅野田 悠森山 悦子秋葉 純黒松 亮子古賀 浩徳川口 巧
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2024 年 65 巻 5 号 p. 223-230

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抄録

症例は40歳代,女性.これまで肝疾患の指摘はなく飲酒歴もない.腹部造影CT検査において肝S2に28 mm大の動脈相で均一に濃染され,門脈相でwash outされる腫瘤を認めた.またGd-EOB-DTPA造影MRI検査でも,動脈相で肝実質より淡く造影され,門脈相でwash outされ,肝細胞相では周囲肝実質より低信号を呈し,DWIで高信号を呈したため肝細胞癌を疑う所見であった.しかし造影超音波検査では後血管相での欠損像がみられず,典型的な肝細胞癌の所見とは異なっていた.診断に苦慮したため,超音波ガイド下腫瘍生検を施行したところ,肝血管筋脂肪腫の診断に至った.造影超音波検査上,肝細胞癌に典型的な所見がみられなかったことが腫瘍生検を検討する契機となり,肝血管筋脂肪腫の診断に至ることができた.造影超音波検査は肝細胞癌との鑑別を含め,肝血管筋脂肪腫の診断において有用であったと考えられた.

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© 2024 一般社団法人 日本肝臓学会
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