肝臓
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特別寄稿
肝臓恒温機械灌流の多面的有用性と国内臨床実装の展望:肝移植を待つ患者をひとりでも多く救うために
後藤 徹日比 泰造戸島 剛男栁 佑典市田 晃彦坂元 克考伊藤 孝司赤松 延久阪本 靖介長谷川 潔笠原 群生波多野 悦朗吉住 朋晴
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2026 年 67 巻 2 号 p. 101-108

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抄録

本邦では年間脳死肝移植が100例を超えたものの,ドナー不足による深刻な移植臓器不足が依然として喫緊の課題である.一方,欧米では機械灌流保存の導入により心停止後ドナーなど拡大基準ドナー臓器の活用が進み,肝移植件数の大幅な増加が達成されている.恒温機械灌流(Normothermic Machine Perfusion:NMP)は,摘出肝を生理的環境下で灌流することで長時間保存と機能評価を可能とし,安全な臓器選択を実現した.さらに再灌流障害や早期グラフト不全の抑制,日中手術への移行による医療体制の改善にも寄与している.本邦特有の課題として多臓器の同時受け入れ負担による施設の臓器受入れ辞退や,公共交通機関を用いた長時間の輸送時間を想定した辞退もあり,NMP導入の早期実装が求められている.我々5施設は国内初の第I/II相臨床試験を計画し,試験計画の支援として2024年度厚労科研(24CA2038)に採択された.NMPは利用臓器拡大と移植医療の持続可能性を支える基盤技術として期待される.

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