2026 年 67 巻 2 号 p. 151-158
切除不能な肝細胞癌に対する一次薬物治療であるアテゾリズマブとベバシズマブの併用療法中に,左臀部から大腿にかけて壊死性筋膜炎を併発して治療中止となった一例を経験した.B型肝硬変を背景とした肝細胞癌の70歳代の男性.切除不能な肝細胞癌に対する肝動脈化学塞栓療法が不応であったためアテゾリズマブとベバシズマブの併用療法を開始した.11回投与を行った後に38℃台の発熱とその5日後から左臀部から大腿にかけての疼痛がみられた.炎症所見の上昇があり,CT検査で左臀部から大腿部の筋間部や筋膜に沿って膿瘍を疑う低吸収域と筋膜に沿って造影効果を認めたことから壊死性筋膜炎と診断した.セファゾリンの投与とドレーン留置で改善した.膿瘍腔の穿刺液からはStreptococcus dysgalactiaeが検出され起因菌と考えられた.肝細胞癌に対するベバシズマブ投与時の有害事象として壊死性筋膜炎にも注意する必要がある.