2026 年 67 巻 2 号 p. 159-169
症例は50歳代,男性.12年前に直腸癌の術後補助化学療法としてXELOX療法が6カ月間施行された.その後,食道静脈瘤破裂を認め,飲酒歴からアルコール関連肝硬変として経過観察されていたが,再度吐血し,当院へ紹介となった.造影CTで門脈血栓症を認め,抗凝固療法を施行した.CT所見では,門脈大循環短絡を有していたが,肝表面は平滑で肝萎縮を伴っていたため,Oxaliplatin誘発性門脈類洞血管障害(porto-sinusoidal vascular disorder:PSVD)を疑った.肝および脾硬度を測定し,肝生検を行った結果,肝硬変は否定され,PSVDと診断された.Oxaliplatinの投与から12年の長期経過の中で,進行性の肝萎縮,門脈血栓症,食道静脈瘤破裂を呈したPSVDの1例を経験した.Oxaliplatin誘発性PSVDは進行性の門脈圧亢進症をきたす可能性のある病態である.