肝臓
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二重盲検によるCE-14の慢性肝疾患に対する効果
上田 英雄奥村 英正堀口 正晴浪久 利彦斧田 大公望岩村 健一郎上野 幸久奥田 邦雄大森 亮雅小林 節雄酒井 和夫滝野 辰郎土屋 雅春橋本 修治広重 嘉一郎矢野 幹夫山本 繁
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1974 年 15 巻 3 号 p. 162-171

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抄録
冷蔵人胎盤の加水分解によるCE14(ラエンネック(L))は各種アミノ酸を含んでおり,その作用として,抗脂肝作用,組織呼吸の促進効果,肝再生の促進などが,実験的研究から知られている.今回の研究は,本剤が慢性肝疾患の治療に有効な薬剤かどうかを知ることであった.患者を二重盲検により,2群にランダムに分けた.Placeboとしては生理的食塩水を用いた.第I群は,L注射を2週間受けた後,Placeboを2週間受け,この方法をもう一度くり返した.第II群は,始めPlacebo注射を2週間受け,つぎの2週はLの注射を毎日受けた.その後は第I群と同様にもう一度くり返した.肝機能検査を2週毎に行なって,その前と2週後の値を比較した.両群とも,GOT, GPTはL投与期間で下降し,それは統計的に有意であった.これに比して,両群のPlacebo期間におけるGOT, GPTの下降は有意ではなかった.以上より,Lは慢性肝疾患患者に効果があるといえよう.
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© 社団法人 日本肝臓学会
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