肝臓
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Ammonia直接比色定量法を応用したMonoamine oxidase測定法の臨床的意義について
伊東 進高岡 猛岸 清一郎藤井 節郎奥田 拓道
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1974 年 15 巻 5 号 p. 301-309

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抄録

酵素作用で遊離するammoniaを直接比色定量する新しいmonoamine oxidase (MAO)測定法を用い,benzylamineを基質として測定した値(BZA-oxidase)とn-butylamineを基質として測定した値(NBA-oxidase)を比較し,その臨床的意義について検討した.肝抽出液ではBZA-oxidaseがNBA-oxidaseより高値を示し,血清では肝とは逆に,NBA-oxidaseがBZA-oxidaseより高値を示した.したがって,肝MAOと血清MAOは同一でないと考えられる.血清NBA-oxidaseおよびBZA-oxidaseは,急性肝炎および慢性肝炎では正常に比べて軽度の上昇がみられ,肝硬変および肝癌では高度の上昇がみられた.組織学的に線維化が高度になるにしたがって高値を示す傾向がみられ,臨床的意義は大きい.血清MAOの測定にはbenzylamineを基質に用いるより,n-butylamineを基質に用いたNBA-oxidaseの測定がより適していると思われる.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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