1974 年 15 巻 6 号 p. 337-341
ヒトの乙型硬変肝のコラーゲンを1M食塩(中性溶性コラーゲン),および0.5M酢酸(酸溶性コラーゲン)で抽出し,そのアミノ酸組成,糖含量および分子量を測定した.
1) ヒトの硬変肝から抽出されたコラーゲンもカルボキシメチルセルロースクロマトグラフィーによりα1,α2およびβ12鎖に分離出来る.
2) α1,α2鎖のアミノ酸組成は,ハイドロオキシプロリン,メチオニンが少なく,ハイドロオキシリジン,ヒスチジンが多い.α2鎖により多く塩基性アミノ酸が含まれている.
3) α1,α2,β12鎖ともに糖含量が著しく多く,糖を介する基質との結合が,ヒトの硬変肝のコラーゲンの抽出を困難にしているものと考えられる.
4) α1,α2鎖の分子量は103,000, 106,000と推定される.