1975 年 16 巻 4 号 p. 179-183
われわれが考案した酵素消化法による組織酸性ムコ多糖(AMPS)分画定量法を用いて健常人および肝硬変患者の肝組織AMPSを量的並びに質的に検討し,従来のcellulose microcolumn法による分析結果と比較した.健常人肝組織AMPS含量は平均198μgウロン酸/g脱脂乾燥肝末で,その質的構成はヘパラン硫酸(HS)が大部分を占め,デルマタン硫酸(DS)およびヒアルロン酸(HA)がこれにつぎ,コンドロイチン硫酸(ChS)は全AMPSの10%以下であったが,肝硬変症および原発性胆汁性肝硬変症の肝組織では総AMPS量が3-4倍に増加し,とくにDSおよびChSの著増とHSの相対的な減少が認められた.