肝臓
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四塩化炭素肝硬変ラットの肝内微小血管圧および肝循環の血圧勾配の変化について
芝山 雄老
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1975 年 16 巻 4 号 p. 184-191

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抄録

四塩化炭素肝硬変ラットの肝内微小血管圧をmicropuncture techniqueを用いて測定し,肝(門脈)循環の血圧勾配の変化を調べ,これと肝内血管樹の形態学的変化との関係を検討した.肝硬変ラットでは,門脈圧は211mmH2O,肝内終末門脈枝圧は112mmH2O,中心静脈圧は34mmH2O,下大静脈圧は24mmH2Oで,門脈圧および肝内終末門脈枝圧は正常ラットのそれに比して,それぞれ101mmH2O,44mmH2O上昇していたが,中心静脈圧および下大静脈圧には有意の変化はなかった.この成績から四塩化炭素肝硬変ラットでは肝内門脈および類洞の血管抵抗が著明に増大していることが判明した.肝血管樹のX線造影では肝内門脈ならびに肝静脈の末梢枝に軽度のひずみや蛇行が認められ,また組織学的に腫大肝細胞による類洞の著明な狭窄が見出された.かかる諸成績を総合して,肝血管抵抗を増大せしめる主原因は,類洞においてはその狭窄に求められ,肝内門脈では形態学的変化が比較的軽度であるので,門脈枝壁のvasomotor controlの亢進が関与している可能性も考えられた.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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