肝臓
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HBcAgとHBsAgの肝細胞内局在とその形態
志方 俊夫吉崎 千穂岡崎 啓幸鵜沢 輝子松下 寛高橋 隆豊川 秀治後藤 敦石田 名香雄
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1975 年 16 巻 4 号 p. 201-208

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抄録

肝組織内でHBAgは蛍光抗体法によるとdualityを持っており,HBcAgは肝細胞核に,HBsAgは細胞質内に染る.この両者が化学的にも異ることはオルセイン染色,アルデヒドーフクシン染色がHBsAgのみを染めることからも明らかである.一方,電顕的には肝細胞核内に球型のウイルス様粒子があり,細胞質内にはフィラメント様構造がある.この蛍光抗体法と電顕所見の相関を求めるために同一症例での比較が行われた.
ウイルス様粒子を持った肝細胞核は,Dane粒子で作った抗体をHBsAgで吸収したもので蛍り,これがDane粒子のコアであることはほぼ間違いない.またエポン包埋の1μ切片をアルデ光抗体法で染ヒドーフクシンで染めることによりHBsAgの局在をたしかめ,これを電顕的に観察して,細胞質内封入体,さらにその中にフィラメント様構造を認め,このフィラメント様構造がHBsAgに関係あることが証明された.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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