卵黄感作による実験的肝線維症ラットを人体の肝炎慢性化のモデル実験として検討してきたが,ほぼ完成した肝線維症が卵黄感作を中止すれば,その後いかなる変化を示すかはいまだ検討されていない.
そこで,感作中止後の肝病変の変化を同一ラットの肝生検により経過を追って観察した.その結果,感作を中止し7週後の肝組織像は肝生検で認めた肝細胞の変性・壊死はほとんど修復され,グ鞘の細胞浸潤も著明に消退し,増生結合織は明らかに減少をみたが,なお細胞成分の乏しいcompactな細い線維が残存する.さらに,主実験群の肝・脾の体重比および肝機能検査を健常対照群および腎茎後5週間卵黄感作群と対比し,肝腫よりも脾腫の変動が肝障害の病態とパラレルであり,肝組織変化の強かった群のGPT値の平均は軽度のものに対しやや高値を示した.